第502章 感情においてどうして少しの自信もないのか

神崎彩は、その清潔で形のいい手を見つめ、ほんの一瞬、意識が遠のくような感覚に襲われた。

周囲にはまだ大勢の視線がある。ここで水瀬遥人の顔を潰すわけにはいかない。

彼女はおとなしく自分の手を彼の掌に重ねた。飛び降りようとした、その瞬間だった。水瀬遥人は空いたほうの手で彼女の脚を抱え、そのままひょいと抱き下ろした。

その光景に、支社の面々は一様に呆然とした。

神崎彩が女性の責任者だということは知っていた。だが、まさか社長とあそこまで距離の近い関係だとは、誰も思っていなかったのだ。

——まずい。

もし神崎彩が社長に自分たちのことを訴えたら、もう終わりではないか。

そう思うと、皆たちま...

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