第531章 淵本直紀の大局

そう言いながら、彼は広住素子の腕に自分の腕を絡め、肩に頬を寄せて甘えるように宥めた。

広住素子の表情が、ようやく少しだけ和らぐ。

「じゃあ……お母さん、うるさくない?」

「うるさくない、うるさくない! 俺たち、ママがいちばん好き!」

二人の太鼓持ちが、声を揃えて言った。

それで広住素子は、ようやく機嫌を直した。

水瀬園子と水瀬将彦は顔を見合わせ、そろって肩を落とす。

母親のご機嫌は取れた。だが次は、また人探しだ。

……

一方その頃。

神崎彩と栄沢幸子は、それぞれ自宅へ戻っていた。

マンションに着いたところで、神崎彩は橘薫と鉢合わせる。

橘薫は荷物を取りに戻っただけらし...

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