第560章 もう一度泣く

淵本直纪は、頬を伝う涙を最後にぐいっと拭い去り、こくりと頷いた。

「うん、分かった。いいよ……私が跪けばいいんでしょ

温家と唐家が、昔みたいに穏やかに付き合えるなら……私は何だってする」

そう言いながら、彼女は足を上げて教会の中へ入っていく。まるで死地へ向かう兵士みたいな、覚悟の顔で。

神崎彩「はいはい。生まれつきの役者だね。何やらせてもそれっぽい」

教会の中に隠れていた西園寺百合子は、淵本直纪の姿を見た瞬間、幽霊でも見たみたいに顔色を変え、反射的に外へ逃げようとした。ところが入口で、見物していた水瀬将彦とぶつかってしまう。

「うわっ」

水瀬将彦「いてて……おばあちゃん、何で逃...

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