第57章 腹を満たしてこそ、戦場へ

橘薫は冷静さを取り戻したものの、まだこの事態が信じられない様子だった。

「九条莉奈ならやりかねないわ。でも、西園寺蓮が? まさか。あんなに彩を愛していたのに。宝物みたいに大事にして、甘やかして……十年よ? あなたたち、十年間も一緒にいたのよ。たとえ愛が冷めたとしても、出会って数日のぽっと出の女のために、ここまで残酷なことができるの?」

宮本エレナが鼻で笑う。「ありえないことなんてないわよ。新しい女のご機嫌取りのためなら、男なんて何だってする生き物なんだから」

橘薫は眉をひそめる。「でも、彼はこれまで絶対に彩との離婚を承諾しなかったじゃない。まだ少しは彩への想いが残ってるからだと思ってた...

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