第579章

政略結婚の披露宴が終わった翌日、柚月家ではさっそく一族会議が開かれた。

上座に座る柚月お婆さんの表情は、いつになく重い。

「神崎彩の身元は、もう皆わかっているはずだよ」

声が、わずかに震えていた。

「彩は悟の娘――柚月家の血を引く子だ。私の考えは一つ。できるだけ早く、認知して、柚月家へ戻す」

その言葉が落ちるや否や、柚月匡志が椅子を蹴るように立ち上がった。

「母さん、俺は反対だ」

陰りきった顔つきは、ぞっとするほど険しい。

「神崎彩は外で二十年以上も野放しだった。どんな人間になってるか、誰にもわからないだろう。それに今は水瀬家とあんなに近い。そんな女を柚月家に入れたら、あいつ...

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