第100章 見捨てられたゴミ

江口式は江口信年の嘲りなど気にも留めなかった。声の端々から察するに、相手は権勢のある人物だ。江口信年が逆らえるはずもなく、売らないという選択肢など最初からない。

「……わかった。行く」

どれだけ厳しくても、やってみるしかない。

通話を切った途端、くらりと眩暈が襲った。江口式はこめかみを揉み、シートに背を預けて目を閉じる。

タクシーが病院の正面玄関に停まっても、まだ頭はふわふわしていた。

院内に入って適当なベンチを見つけ、腰を下ろす。何度も深呼吸を繰り返し、意識的に力を抜いた。

十分ほどして、ようやく少し楽になる。

周防富安の病室に入るとき、江口式はぱっと花が咲くような笑顔を浮か...

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