第103章 松本寧音へ贈るつもり?

江口式は研究室を出ると、給湯室でコーヒーを淹れ、合間にスマホの通知を確認した。

写真を開いた瞬間、林田景司と松本寧音、そして外来の診療科に掲げられた「婦人科」の文字が目に飛び込んできて、江口式の視線がぴたりと止まる。

しばらくしてようやく画像を閉じ、後藤由紀からのメッセージを読み直した。

「式ちゃん、松本寧音……妊娠したんじゃない?」

コーヒーをひと口含んだ途端、苦味が舌の奥まで刺さって、思わず喉がひくつく。そこでようやく、マシンのボタンを押し間違えてミルクを入れ忘れたことに気づいた。

江口式はそのまま苦いコーヒーを捨て、作り直してラテを淹れる。

後藤由紀には返事をしなかった。

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