第105章 胎児は守れません

後藤由紀は胸の奥がぐしゃりと潰れそうで、反射的に首を横に振った。

「先生、私に話してください。何でも聞きます」

医師は一瞬だけ目を細める。

「あなたは……ご友人ですよね?」

救急室に運ばれたとき、看護師から聞いていた。外にいるのは患者の友人だけだ、と。

医師は眉間に皺を寄せ、低い声で言った。

「妊婦さんの命に関わる話です。ご友人では判断できません。ご両親か、ご主人に来てもらってください」

後藤由紀の目が、ぱっと見開かれる。医師を凝視したまま口を開き、唇が小刻みに震えた。

しばらくして、信じられないという顔で問い返す。

「……妊婦?」

医師は手元の検査結果をめくりながら、淡...

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