第111章 彼が明日まで生きられないのが怖くないのか?

「はぁ?」

後藤由紀が勢いよく立ち上がった。

「式ちゃんは、あんたに対して何ひとつ後ろめたいことなんてしてない。なのに土下座させる気?」

そのまま保坂臣へ突進する。

「式ちゃんが林田景司と結婚したことを後悔してるかどうかなんて、あんたに関係ない。少なくとも、あんたみたいな善悪もわからない男を捨てたことは後悔してない」

殴りかかりそうな後藤由紀を見て、江口式は胸の奥の衝撃も失望も飲み込んで、慌てて腕を掴んだ。

由紀が臣に何をするかは怖くない。怖いのは、臣が逆上して由紀を傷つけることだった。

次の瞬間――保坂臣が手にしていたグラスを、後藤由紀めがけて叩きつけた。

江口式が咄嗟に由...

ログインして続きを読む