第112章 君を信じない

「三年前、江口信年の下で港湾プロジェクトを担当していた人間を洗って。特に、三年前に辞めたサプライチェーン責任者――木下東」

保坂臣はすでに、江口家と保坂家が共同で進めている案件をすべて引き継いでいる。江口グループ側の窓口も把握しているはずだ。だから調べるには都合がいい。

保坂臣の疑うような態度を見て、江口式はふと、自分が握っているあの録音の存在を思い出した。

けれど、もう自分から証明する気はない。

「自分で証拠を掴んでから言えば」

自分の手で辿り着いた証拠ほど、説得力のあるものはない。

江口式は後藤由紀の手を引き、店を出た。

後藤由紀は、まるで馬鹿を見るような目で保坂臣に言い捨...

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