第114章 仲直りしない?

「……なに?」

江口馨は目を開き、自分の耳を疑った。

「愛してるのに、なんで林田景司なんかに嫁いだ!」

保坂臣は声を荒らげ、動きもいっそう乱暴になる。

「どうして他の男と結婚できるんだよ!」

「俺はあんなに愛してるのに、なんで他の男と――」

保坂臣は同じ言葉を何度も何度も繰り返し、最後には吐き捨てるように叫んだ。

「江口式! 俺はおまえが憎い!」

江口馨は口を開けたまま、信じられないものを見る目で男を見つめた。

――江口式。

彼は、江口馨を江口式だと思い込んでいる。

ずっと待っていたのも、江口式。

そう気づいた瞬間、羞恥と怒りが一気にこみ上げ、江口馨は身をよじって逃れ...

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