第117章 江口馨の取り調べ

江口馨が鼻歌まじりに玄関をくぐったとき、居間では吉田詩乃が待ち構えていた。

頬の青あざを隠すため、詩乃は濃いめのメイクをしている。ここ最近ずっと落ち着かず、ろくに眠れていないせいで肌は荒れ、妙に老けて見えた。派手なのに、どこか安っぽい。

馨の姿を見つけるなり、詩乃は駆け寄ってくる。

「どうだった?」

馨はくっと笑った。

「……あのジジイ、もう長くないよ」

「ほんと?」詩乃の顔がぱっと明るくなる。

馨は自信満々に頷いた。

「怒りすぎて吐血した。あれは絶対助からない」

――やった。

詩乃は嬉しさのあまり、笑みが歪む。

「じゃあ江口式、ショックで死にそうね?」

「痛い目見せ...

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