第13章 江口式の顔が殴られて歪む

江口式は急いでかけ直した。短く思案した末、まずは夏川媛に電話を入れる。

すぐにつながり、「お母さ――」と言いかけた、その瞬間だった。

「携帯を寄こしなさい!」

受話器越しに聞こえたのは、あのお婆さんの声。江口式は思わず言葉を飲み込む。次いで、耳をつんざくような怒号が飛んできた。

「江口式! 今どこにいようが何をしていようが関係ない。今すぐ戻ってきなさい! さもないと、林田家から叩き出す!」

反論の余地すら与えず、通話はぶつりと切れた。

江口式は林田景司と離婚し、林田家とも縁を切るつもりでいる。だがお婆さんがここまで激昂する以上、何かが起きたに違いない。

迷っている暇はない。江口...

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