第130章 周防家の家宝

「実はな、うちも馨ちゃんのことは可愛がってる。だが家の体面ってものがあるだろう」

保坂の父はため息をつき、いかにも苦渋の表情を作った。

「こうしよう。馨ちゃんが無罪で釈放されたら、婚約は予定どおり進める」

「……約束ですね」

通話を切ると、江口信年は間髪入れずに林田景司へ電話をかけた。

コール音が長く続き、ようやく相手が出る。

江口信年は声色を一段甘くした。

「林田社長、今回の件は、全部吉田詩乃が江口式を恨んで、頭に血が上って……馨ちゃんに間違いをさせたんです。馨ちゃんは写真も動画も偽物だなんて知らなかった。どうか、馨ちゃんだけでも助けていただけませんか」

林田景司が真っ先に...

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