第133章 江口式は何も分かっていないのに

「お姉ちゃん、大丈夫? ごめんね、冗談でちょっと驚かせようと思っただけなのに、危うくケガさせるところだった」

坂東紫苑は内心首をかしげた。自分、いまこんなに力が強かったっけ?

危うく江口式を吹き飛ばすところだった。

「大丈夫」

江口式は両足でしっかり踏ん張り、まず坂東紫苑にそう返す。それから、腕を支えていた林田景司へ視線を向けた。

「ありがとうございます」

そう言いながら、江口式はそっと腕を引く。

林田景司も手を離し、伏せたまなざしで江口式の足首を一瞥したあと、二歩遅れて近づいてきた坂東逸世へ、淡々と視線を移した。

坂東逸世は坂東紫苑を横目で睨み、江口式へ頭を下げる。

「す...

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