第140章 彼女は許さない

江口式は笑みを浮かべて言った。

「それで、林田景司が『医者を手配した』って連絡してきたから、私は病院に戻ったの」

「……それだけ?」後藤由紀は信じられないといった顔をする。

それだけで、保坂臣があんなメッセージを送ってくるだろうか。

「それだけよ」

江口式の眼差しは静かだった。

「私が『林田景司の子を妊娠した』って言ったら、保坂臣は引いたの」

後藤由紀は言葉を失った。

江口式に妊娠を口にさせるほど追い詰めたのだ。保坂臣の行動がどれほど酷かったか、想像するのは難しくない。

テーブルの下で、後藤由紀の手がぎゅっと握り締められる。

この借りは、必ず保坂臣に返させる。式のために。...

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