第150章 俺を愛したことがあるか

「この子は、産むつもりがないの」

江口式は林田景司を見た。林田景司の顔色がみるみる冷えていくのを意にも介さず、淡々と続ける。

「今回の事故で、たまたまあなたが知っただけ。そうじゃなかったら、最初から言うつもりもなかった」

「俺は父親だ。なんでおまえが勝手に決める」

林田景司が一歩、詰め寄る。

江口式は疲れたように眉を寄せ、低い声で言った。

「林田景司、そんなふうにしなくていい。……本当は、あなたもこの子を望んでないでしょう?」

一拍置いて、言葉を選ぶように続ける。

「怒ってるのは、知らされなかったから。尊重されなかったって感じたから。それだけ」

「それに――あなたも、あなた...

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