第153章 すべて彼のせいだ

林田景司は知っていた。夏川媛が江口式に林家へ嫁ぐことを承諾させたやり方は、結局のところ取引だったのだと。

江口式がそれに応じたのは、想い人を救うため。

そのときの林田景司は、こう思っていた。

――構わない。気持ちは、これから育てればいい。

だが、自分の嫉妬心を甘く見ていた。

江口式が保坂臣と過去に付き合っていたこと自体は、どうでもよかった。

けれど、いざ彼女と肌を重ねようとするたび、どうしても頭をよぎる。

今、江口式の脳裏にいるのは……誰だ?

だから、江口式と親密になる夜、林田景司は灯りを消すのが嫌だった。

自分を見てほしかった。余計な誰かを思い浮かべる隙なんて、与えたくな...

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