第16章 景司にあなたと離婚させる

「これは会社の車だ。君に使ってもらう」

江口式は思わず固まった。

「え……それ、まずくないですか?」

古川承一は気にも留めない調子で言う。

「俺が言ってるだろ。会社の車だ。社員の便宜のためにある。君は俺の副佐だし、うちの主力だ。効率を上げるためにも、君が乗るのがちょうどいい」

江口式はふっと笑った。車があれば通勤は確かにずっと楽になる。

先輩の好意だとわかっている。これ以上は遠慮せず、彼女はキーを受け取った。

「ありがとう」

二人は昨夜の続きの作業に戻った。昼が近づいたころ、夏川媛から電話が入る。江口式は手を止めざるを得なかった。

「式ちゃん、仕事忙しい? お昼、戻ってこら...

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