第37章 江口式にはこんな奔放な一面もあるのか?

夜の道路は車もまばらで、江口式はほとんど引っかかることなく、三十分余りで店員に教えられた住所へ着いた。

会員制クラブの長い廊下。白いローヒールの革靴が、コツ、コツと一定のリズムで床を叩く。スカートの裾は、歩くたびに花がひらくみたいに揺れた。

目的の個室を見つけると、江口式は扉のガラスにそっと顔を寄せ、中をのぞく。

薄暗い照明の中、視線を巡らせてようやくソファに横たわる男が保坂臣だと確認できた。

やはり具合が悪いのだろう。そうでなければ、あんなふうに長く寝そべっているはずがない。

もう保坂臣を愛してはいない。けれど昔の付き合いがある。店員に「具合が悪そうだ」と聞かされて、平然としてい...

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