第50章 林田景司の報復

その言葉に、林田景司の動きがぴたりと止まった。彼は彼女の脇で膝をついたまま硬直し、闇に沈んだ表情は読めない。

――やっぱり、松本寧音のことは気にするんだ。

江口式は皮肉だと思った。けれど今は、それでいい。むしろ好都合だった。

だから、もう一度だけ突きつける。

「……女なら誰だって、男を共有したいなんて思わない」

闇の向こうで、くっと低い笑いが落ちた。

嘲っているようで、けれど江口式には判別できない感情が混じっている。

林田景司が笑いながら言う。

「彼女は気にしない」

そう言うなり、江口式が抵抗するのも構わず、手首を掴んで頭上へ押し上げた。

耳元へ落ちてきた声は、あまりに露...

ログインして続きを読む