第62章 来月婚約する

江口式は、返答に一瞬詰まった。

既婚だと言えばいいのかもしれない。けれど自分は、もう離婚するつもりでいる。しかも相手のことは、口に出せない――。

もし坂東紫苑に、さらに突っ込まれたら……。

江口式の言い淀みを察したのだろう。坂東逸世が、ちょうどいいタイミングで口を挟んだ。

「紫苑。人のプライベートだ。むやみに詮索するな」

「はーい」

坂東紫苑は素直に頷き、ぱちりと大きな目を瞬かせて、にこっと笑う。

「式姉さん。じゃあさ、これからロボットのことで分かんないことがあったら、教えてもらっていい?」

答えを引き出せなかったのに不満を見せない。兄の言葉をきちんと聞く子だ。

江口式は小...

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