第73章 松本寧音と江口式はどちらがより優れているか

武井鳴は古川承一と握手を交わし、その場で別れた。

帰りの車中。武井鳴は窓の外を眺めながら長いこと考え込み、やがて助手へ電話を入れる。

「HYテクの責任者に伝えてくれ。十日後、企画書を見せてほしい」

――つい昨日、HYテク側から「ぜひ武井鳴と組みたい」と打診があった。

商談に来た責任者の一人が松本寧音だ。

武井鳴は古川承一と組む気持ちがある。だが林田景司の顔も潰したくない。だからその場では即答せず、HYの人間には「返事は追って」とだけ告げて帰らせた。

それが今になって、ふと思ったのだ。

林田景司に気に入られている松本寧音と、林田景司に嫌われている江口式――いったいどちらが、より優...

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