第75章 先に手術、そして離婚

「それは企業秘密にあたりますので……申し訳ありませんが、お答えできません。林田社長」

林田景司は眉間にしわを寄せ、軽くうなずいた。沈黙が落ちる。やがて言い方を変えて、ぶっきらぼうに訊く。

「どこ行く。送ろうか?」

今度は江口式のほうが驚いた。

こんな場面で、この男はまだ白々しく送るだの何だのと言うのか。

「結構です」

踵を返して歩き出し、ひと足踏み出したところで止まる。江口式は振り返った。

「そうだ。医師の件、進展は?」

「まだだ」

「連絡がつかないの? それとも、何か邪魔が入ってる?」

林田景司は顔を背けた。

「焦るな。確かな情報が入ったら連絡する」

外祖父の命がか...

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