第85章 あんたは本当に卑しい!

あの頃、二人の子どもがやけに気が合って見えたものだから、夏川媛は密かに「江口式をうちの息子のお嫁さんに」と思い描いていた。

けれど、江口式の母親が亡くなってからというもの、林田家の跡取りである林田景司は学業の予定がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、二人が顔を合わせる機会はめっきり減った。

さらに時が経ち、江口式は保坂臣と付き合うようになった。

夏川媛は覚えている。江口式と保坂臣の交際を知った数日間、林田景司の機嫌がずっと冴えなかったことを。

からかうように「もしかして嫉妬?」と聞いたら、返ってきたのは冷たい白い目だった。

「母さんが勝手に期待して、勝手に外れただけだろ。俺に押しつけるな」

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