第89章 松本寧音の謝罪

坂東紫苑のあの跳ねっ返りな性格を思い浮かべると、江口式はすぐに「キッチンを爆破する」光景まで連想してしまう。

「その小箱じゃ足りないわ。大箱にして。しばらく食べさせておけば、またキッチンを爆破されずに済むから」

坂東逸世は意外そうに眉を上げた。いつも静かな江口式が、冗談めいたことを言うなんて。

歩いて五分もかからない距離だ。二人は住宅区画へ曲がり、そのまま建物の下まで来た。

坂東逸世は足を止めたが、荷物を下ろす気配はない。

「江口先生、案内して。最後まで手伝わせてよ」

ここまで来た以上、江口式も張り合うのをやめた。

彼女が先に立ってエレベーターを開け、階数ボタンを押す。

部屋...

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