第103章

松井誠美が部屋に入ってきた。視線が室内をひと撫でし、最後に枕へと落ちる。

竹内結菜は反射的に身を引き、手の甲を背中へ隠した。

――でも、もう遅い。

誠美はベッド脇までまっすぐ歩み寄ると、枕をひょいと持ち上げた。そこにスマホがある。画面はまだ消えていない。

メッセージ画面が開きっぱなし。

誠美はそれを手に取り、ちらりと確認してから、自分のポケットへ滑り込ませた。

「誰に教わったの?」

結菜は口を開けたまま、声が出ない。

誠美は見下ろす。声量は抑えているのに、一語一語が重くのしかかる。

「はっきり言ったはずよ。ここに閉じ込めてるのは、考える時間をあげてるから。分からないなら、分...

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