第104章

松井誠美の顔色が、ほんの数秒で複雑に揺れた。

指先はスマホの縁を押さえたまま。口を開いて弁解しようとしても、声は喉の奥から無理やり絞り出したみたいに掠れていた。

「……私じゃないわ。私が流したんじゃない」

雲雀京介は答えない。ただ、黙って彼女を見ている。

その視線が、問い詰められるよりもずっと痛かった。

松井誠美はスマホを押し返し、席に腰を下ろした。目の前の椀を手に取り、手が一度ぶれる。ようやくスプーンを握り直す。

「ネットのこと、あなたも信じるの?」

「母さん、もう隠せない」

雲雀京介の声は大きくない。だが一語一語が、鋭くはっきりしていた。

「竹内海はもう調べさせた。市内...

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