第111章

取締役会の改選が外に漏れてから二日も経たないうちに、香椎早希のスマホは鳴りっぱなしになった。

大半は探り。少しは擦り寄り。ごく一部は、鼻で笑うような皮肉だった。

改選当日。香椎早希は黒のスーツワンピースに身を包み、髪をきっちりまとめ、メイクは端正に整えつつも濃くはしない。

会議室の扉の前で、彼女は一度、深く息を吸った。

扉を押し開けた瞬間、十数本の視線がいっせいに突き刺さる。

室内にいるのは十一人。

雲雀グループの取締役たち。顔見知りもいれば、資料で名前だけ見たことがある相手もいる。

長いテーブルの中央に座っていた雲雀京介が、彼女に小さく頷いた。穏やかな目。

香椎早希は彼を見...

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