第116章

雲雀京介が会社に着いたのは、朝8時だった。

エレベーターの扉が開いた瞬間、妙な違和感が走った。

17階のオフィスフロアが、静かすぎる。

いくつかのデスクが空になっていて、天板は拭き上げられたみたいに何もない。パソコンまで運び出されている。

隅で清掃員がモップをかけていた。京介を見ると、軽く頭を下げただけで、挨拶もしない。

雲雀京介は眉をわずかに寄せ、そのまま自分の執務室へ向かった。

入口に人影はない。

秘書もいない。助手の席も空っぽだ。

固定電話は撤去され、机の上に残っているのは一本のLANケーブルだけ。

雲雀京介は数秒立ち尽くし、執務室のドアを押し開けた。

――空だ。

...

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