第12章

その挑発めいた言葉を聞いても、香椎早希の表情は凪いだままだった。

彼女は静かに、竹内結菜の「芝居」を眺める。雲雀京介の同伴として寄り添い、周囲が勘違いするような言い回しを、わざと選んで投げてくる――その一つ一つを。

雲雀の父の顔色が、見る間に悪くなっていく。

竹内結菜の振る舞いへの不快感が、もはや隠しきれないほどに滲んでいた。

「京介、帰ろ? ねえ……」

雲雀京介が何も答えないのを見て、竹内結菜はもう一度、探るように声を重ねる。

だが、その瞬間。

雲雀京介は何事もなかったかのように、彼女の腕の中から自分の腕をすっと引き抜いた。乱暴ではない。けれど、はっきりとした距離があった。

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