第125章

松井誠美が海外へ発った三日目。竹内結菜はいつも通り手紙を書き、見張り役のベビーシッターに託して香椎早希のもとへ届けさせた。

ただ、今回は手紙の中に――思いがけない「お願い」が添えられていた。

『早希。学生の頃、私の料理がいちばん好きだって言ってくれたの、覚えてる。いつなら時間ある? 作りに行くよ。ほんの少しだけでも、償いになればと思って』

過去に触れる文面を見つめ、早希はふっと視線を落とした。

たしかに、結菜はよく料理を作ってくれた。

同じ寮の同じ棟に住んでいた頃。早希は研究課題に追われ、食事を抜くことも珍しくなかった。すると結菜が保温容器を抱え、自習室の入口にひょいと現れるのだ。...

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