第138章

それ以上揉めることもなく、彼は乱れた襟元を整えると、大股で外へ出ていった。

雲雀京介の横を通り過ぎるとき、わざと肩をぶつける。

「雲雀京介。誰彼構わず警戒してるその顔、ほんと見苦しいな」

吐き捨てるように言い残し、振り返りもせず旧宅を出た。

「君ら一家、ほんと面白いよな」

……

夜風が、秋のひんやりした温度を運んでくる。

香椎早希は旧宅の門前の石段に立ち、使用人が車を回してくるのを待っていた。

庭の灯りは薄暗く、地面には重たい影が沈んでいる。

その場に佇みながら、頭の中だけが高速で回転していた。

雲雀明山の容体が悪化した。想定より早い。

つまり――こちらも、手を早めなけ...

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