第139章

香椎早希には分かっていた。――やはり、写真はもう彼の手に渡っている。

けれど彼女の顔には、波ひとつ立たない。迷いもためらいもなく、まっすぐにその視線を受け止めた。

「サファイアのブレスレット、一本」

雲雀京介は、そこまで直球で返されるとは思っていなかったのだろう。瞳の色がすっと沈み、声も冷えた。

「受け取ったのか」

「受け取りました」

香椎早希はコップを置き、口調を崩さない。

雲雀京介が勢いよく立ち上がる。見下ろす眼差しから、猜疑と怒りが隠しきれないほど溢れた。

「相手は雲雀家の分家だ。しかも俺の宿敵だぞ。旧宅の使用人の前で、あいつがお前に肌に身につけるような装飾品を渡し...

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