第142章

香椎早希は、紙に残る雲雀明山の筆跡をじっと見つめた。頭の中ではいくつもの考えが駆け巡っているのに、顔には何の表情も浮かばない。

彼女はスマホを取り出し、遺言書のページを一枚ずつ撮影していった。

それから書類を元通りに折り畳み、鍵と一緒に隠し棚へ戻す。

香椎早希は立ち上がり、膝についた埃をぱんぱんと払った。書棚の前へ行き、雲雀明山がよく手に取っていた本を二冊抜き取る。腕に抱えたまま書斎を出た。

足取りは急がない。淡々と寝室へ戻り、扉を押し開ける。

介護士はすでに戻っていて、監視モニターの設定を調整しているところだった。

香椎早希は二冊の本をベッドサイドのナイトテーブルに置き、眠り続...

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