第145章

電話口の呼吸はひどく軽く、かすかな疲労が滲んでいた。

香椎早希は何も言わない。

昼間、雲雀明山のあの衰えきった顔を見た瞬間から――こうなる日が遠くないことは分かっていた。

数秒の沈黙ののち、雲雀京介の声がまた届く。さっきよりもさらに低い。

「……大丈夫か」

香椎早希は答えなかった。

「君と親父がこの数年、あんまり近くなかったのは分かってる。でも……親父、最後に君のことを口にした」

香椎早希の指先が、わずかに動く。黙ったまま続きを待った。

「葬儀は、君に取り仕切ってほしいって」

指先がふっと止まる。驚きはない。

雲雀明山の狙いなど、誰より分かっている。

雲雀京介は息子だが...

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