第147章

香椎早希は雲雀家の伯母と並び、言葉を交わしていた。

伯母は早希の手を取ったまま、雲雀明山が生前どんな人間だったかを、途切れることなく語り続ける。声には悔いと惜別が滲んでいた。

早希は辛抱強く耳を傾け、ときおり小さく頷いて相槌を打つ。喪主の妻として、どこを切り取っても非の打ちどころがない。

――そのとき、視界の端に入口の気配が引っかかった。

数人の客が首を伸ばし、外を覗き込んでいる。頭を寄せ合い、ひそひそと囁く声は抑えられているのに、断片だけが風に乗って耳へ届いた。

「腹、あんなに大きいのに……」

「雲雀社長、隠し通してたんだな……」

「今日みたいな場にまで来るとか、正気じゃない...

ログインして続きを読む