第16章

香椎早希もまた、竹内結菜のフェイントに引っかかるように体勢を崩し、足首に鋭い痛みが走った。

「……っ」

呻くように息を漏らし、慌てて近くの手すりに掴まって、どうにか倒れずに済ませる。

その一方で竹内結菜はというと、何事もなかったかのように地面へ腰を落とし、両手をついて座り込んでいた。顔には、計算し尽くした怯えと無垢。

見上げてくる瞳は涙で潤み、声は震えている。

「早希……わ、私はただ、ちゃんと話してほしかっただけなのに……どうしてそんなに私を敵みたいに扱うの? 私のこと嫌いなのは分かったけど……でも、押すなんて……」

香椎早希は視線を落とし、地面で“被害者”を演じる女を冷ややかに...

ログインして続きを読む