第167章

午前3時。

私立病院の分娩室の前。廊下の音声センサーライトが、ついたり消えたりを繰り返していた。

雲雀京介は長椅子に腰を落とし、指先の煙草はとうに短くなっていた。燃え尽きかけた熱が指に刺さって、そこでようやく我に返る。

「……っ」

彼は吸い殻をもみ消し、脇のゴミ箱へ放り込むと立ち上がった。そのまま、落ち着きなく行ったり来たりを始める。

磨き上げられた大理石の床に革靴が当たり、どん、どん、と鈍い音が響く。静まり返った廊下では、その足音だけがやけに大きい。

竹内結菜が分娩室に入って、もう5時間。

皺だらけになったシャツの襟元を引っ張り、京介は息を吐く。目の奥は真っ赤で、血走った筋が...

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