第168章

子どものお宮参りの日。雲雀家は、最高級の柏英ホテル最上階のバンケットホールを丸ごと押さえていた。

クリスタルのシャンデリアが砕けた金色の光を散らし、入口にはシャンパンタワーが幾重にも積まれている。白薔薇とシャンパンの甘い香りが、ふわりと空気に溶けていた。

雲雀家の分家筋の年長者に、ビジネスの取引先、懇意のメディア数社――招待客は早々に会場へ集まっている。

香椎早希はロングドレスに身を包み、長い髪を低いシニヨンにまとめていた。耳元には小粒のパール。メイクは淡く、品よく整っている。

彼女は入口で雲雀家の伯母と談笑していた。口元に薄い笑みを浮かべ、声色は柔らかい。けれど受け答えは隙がなく、...

ログインして続きを読む