第170章

竹内結菜はソファに腰を下ろし、眠り落ちた子どもを胸に抱いたまま、指先だけはスマホを握り潰す勢いで力を込めていた。

画面に残っているのは、お宮参りの日に招待客が投稿したSNS。

写真の中で、香椎早希はロングドレスを纏い、雲雀京介の腕にそっと手を添えてシャンデリアの下に立っている。眉目はやわらかく、笑みは上品で、どこから見ても「奥さま」だった。

対して自分は、隅の背景に半分だけ写っているだけ。顔の片側が切れて、表情は引きつっている。

爪が掌に食い込み、赤い筋がいくつも残っているのに、結菜は痛みすら感じなかった。

――雲雀の子を孕めば、人生が変わると思っていた。

――娘を産めば、雲雀奥...

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