第178章

午前八時半。雲雀グループの取締役会は、定刻どおりに始まった。

スクリーンには、子会社の四半期決算資料が映し出されている。

香椎早希は雲雀京介の右手に座り、万年筆を指先でくるりと回しながら、必要な箇所にだけ小さく印を入れていた。

雲雀京介は指先で、こつ、こつ、と机を叩く。

昨夜の家族の席での一件が、どうにも胸につかえている。

出社前、早希にわざわざ言った。

疲れているなら早めに切り上げろ。残りは俺が引き取る、と。

――そのとき。

会議室の扉が、ばっと押し開けられた。

松井誠美が、付き添いの家政婦に腕を支えられながら入口に立っていた。身を包むのは、その痩せ細った体を覆い隠すような...

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