第179章

ソファに身を沈め、背中を柔らかなクッションへ預ける。今日は立ちっぱなしだったせいか、身体の芯にじわりと疲れが溜まっていた。

ほんの少し息をつこうとした、そのとき。

スマホがぶるりと震えた。

画面に躍る名前――雲雀嘉悠。

香椎早希は視線を落とし、そのまま通話を取る。

受話器の向こうの声は、いつも通り気怠げで、笑いを含んでいた。背景にはグラスの触れ合う澄んだ音。どこかで酒を飲みながら、暇つぶしをしているのが分かる。

「今日さ、伯母さんが取締役会に乗り込んだって? しかも結構派手にやったらしいじゃん」

「耳が早いのね」

香椎早希はソファの肘掛けに身体を傾け、淡々と返した。

「でも...

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