第182章

仕事を終えた香椎早希は、雲雀家へ戻った。

リビングは柔らかな灯りに包まれ、空気にはほのかなミルクの甘い匂いが漂っている。

靴を脱ぎかけたところで、早希の動きがふっと止まった。視線を上げる。

ソファには雲雀京介が座っていた。腕の中には、竹内結菜の娘。抱き方は不器用で、見ていて笑ってしまいそうなくらいぎこちない。

片手で赤ん坊の後頭部を支え、もう片方の手で哺乳瓶を持つ。姿勢はカチカチに固まり、肩にまで力が入っていた。

横にはベビーシッターが立ち、恐る恐る指導している。

「雲雀社長、もう少しだけ手を上げてください。はい、そうです。飲ませるときは少し傾けて……」

京介が言われるまま角度...

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