第185章

松井誠美は雲雀京介を睨みつけた。唇が小刻みに震え、今にも癇癪を起こして泣き喚きたくなる。

――けれど。

雲雀京介の目を見た瞬間、背筋が冷えた。

冗談じゃない。あの男は、本気で言っている。

松井誠美は口を開きかけて、結局なにも言えないまま踵を返した。階段の手すりに指をかけ、ゆっくり、ゆっくりと二階へ上がっていく。

「香椎早希……調子に乗らないで。まだ先は長いんだから」

踊り場で足を止め、ほんの少しだけ首を傾ける。視線の端で階下を掠めた。

雲雀京介は身をかがめ、香椎早希に何かを囁いている。声は甘く、やさしい。香椎早希は顎を上げ、口元に淡い笑みを浮かべていた。

その光景が、松井誠美...

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