第191章

竹内結菜は、その場に釘づけにされたみたいに動けなかった。握りしめていた写真がばさりと手から滑り落ち、何枚かが松井誠美の足元へふわりと舞う。

松井誠美はちらりと見下ろした。顔に浮かんだのは怒りではない。吐き気を催すほどの嫌悪だった。

拾おうともしない。ただ、ハイヒールのつま先で写真を横へ弾く。汚物でもどけるみたいに。

「ちょうどいいわ」

松井誠美の声は氷みたいに冷たい。竹内結菜を見もしないまま、くるりと踵を返してドアへ向かった。

腹はもうはっきりと目立っている。歩きながら無意識に腰を支えるのに、足取りは速く、荒い。誰にも止められない、剥き出しの強さをまとって。

竹内結菜の全身がこわ...

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