第26章

チャイムが二度鳴ったあと、ドアロックがかちりと小さく鳴った。

内側から扉が開く。

香椎早希は目を上げ、用意していた当たり障りのない挨拶を、そのまま喉の奥で止めた。

ドアを開けたのは、八神煉だった。

ちょうどシャワーを浴びたばかりなのか、髪はまだ濡れている。毛先から落ちた雫が、くっきりとした鎖骨をなぞり、胸元へと滑り落ちていく。

上半身は裸で、腰にはバスタオルを一枚、無造作に巻いているだけ。湯気まじりの、ボディソープの香りがふわりと押し寄せた。

香椎早希の呼吸が、ほんの一瞬だけ止まる。

頬に、じわりと熱が差した。

八神煉はドア枠に寄りかかり、深い眼差しを彼女に向けたまま、口元に...

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