第28章

その呼び名は、氷で鍛えた刃みたいに――香椎早希の心臓へ、容赦なく突き立てられた。

想像していたような激痛はない。あるのは、鋭くて、短い刺すような痛みだけ。

そしてそれはすぐに、麻痺と冷えへ変わっていく。

早希は、雲雀京介が別の女を抱き寄せたまま、自分を見下ろすのを見た。そこにあるのは、早希が一度も見たことのない嫌悪と憎しみの眼差し。

「ただの事故だろ。どうして結菜をそこまで追い詰める? お前は、そんなに彼女が許せないのか」

雲雀京介の声は失望と非難で満ちていた。

香椎早希は静かに彼を見返す。言葉は出ない。表情も、ぴくりとも動かない。

その沈黙を、雲雀京介は肯定だと受け取った。

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