第33章

香椎早希は車をホテルの地下駐車場に停めると、書類袋を手にそのまま館内へ入った。

ロビーへ足を踏み入れた、その瞬間だった。

背後でぱっとフラッシュが焚かれ、続けてシャッター音が鳴る。

早希の歩みはわずかに緩んだが、振り返らない。何事もなかったようにエレベーターへ向かった。

フラッシュの残光のなかで、記者らしき男がカメラを下ろし、撮ったばかりの写真を素早く誰かに送信する。

同じころ――タクシーの後部座席。

竹内結菜のスマホが着信を告げた。

画面を開くと、数枚の写真が並ぶ。

香椎早希と福田栄一が時間差で同じレストランへ入り、同じ個室へ消えていく――そんな決定的なカット。

結菜は画...

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