第49章

深夜。

雲雀京介は竹内結菜が住むヴィラ街のゲート前で車を停めたまま、降りようとしなかった。

「京介、上がっていかないの?」

シートベルトを外した竹内結菜が、どこか期待を滲ませた視線を向ける。

雲雀京介は彼女を見ない。ハンドルの上に視線を落としたまま、感情の読めない声で言った。

「いや。帰る」

その言葉に、竹内結菜の笑みが一瞬だけ固まる。けれどすぐに、いつもの柔らかく気遣う表情へ戻した。

「分かった。気をつけてね。今日は楽しかった。子どもも喜んでた」

言い終えると、彼女は身を乗り出し、雲雀京介の頬にキスを落とそうとする。

だが雲雀京介は、わずかに顔をそむけて避けた。

空振り...

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